アルバム紹介・解説|クイーン『ホット・スペース』——賛否が分かれるクイーン流の黒人音楽を追求した10thアルバム!

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Queen - Hot Space|ジャケット画像 アルバムレビュー

シンセサイザーをベースにした音作りで、フレディ・マーキュリーとジョン・ディーコンを中心にアメリカの黒人音楽をクイーン流に追究して見せたアルバムだが、発売当時の1982年から今に至るまでセールス的にも今ひとつだったために評価が賛否両論ある一枚。

1980年12月8日に凶弾に倒れたジョン・レノンに捧げたナンバー「ライフ・イズ・リアル(レノンに捧ぐ)」や既に故人となってしまったデヴィッド・ボウイとの共作の「アンダー・プレッシャー」なども収録されている。

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Queen – Hot Space|各曲解説

 

リリース日時 1982年5月21日
ジャンル ハードロック
収録時間 43分29秒
レーベル EMI

ステイング・パワー – Staying power(フレディ・マーキュリー)

Queen – Staying Power (Official Lyric Video)

クイーンには珍しくホーン・セクションを入れて彩り華やかなナンバーに仕上がった一曲である。このナンバーは日本でのみシングル・カットされたナンバーでもある。

ファンキーなシンセサイザーのベース音の弾み具合が印象的なナンバーで、そのビートにフレディ・マーキュリーの歯切れよいヴォーカルが小気味よく乗り、また、黒人音楽を意識した歌い方が堂に入ったナンバーである。

ダンサー – Dancer(ブライアン・メイ)

Queen – Dancer (Official Lyric Video)

このナンバーでもベースはシンセサイザーが担っていて、特に注意を引くダンス・チューンとなっている。ブライアン・メイが手がけたことで、ギターが暴れ回り、単なるダンス・チューンとは一線を画す、ハード・ロックの要素満載の当時としてはとても斬新なダンス・チューンに仕上がっている。

バック・チャット – Back Chat(ジョン・ディーコン)

Queen – Back Chat (Official Video)

ジョン・ディーコンの手になるこのナンバーは、ベースとギターがファンキーなビートを刻み、それがとても小気味よいクイーン流のファンク・ナンバーに仕上がっている。

リード・ヴォーカルはフレディ・マーキュリーが務めていて、ファンク・ビートに上手く乗りながら、クイーンというフィルターを通した黒人音楽が決して泥臭くならない、むしろ清潔感が漂うというクイーンにしか表現できないナンバーを聴かせている。

ボディ・ランゲージ – Body Language(フレディ・マーキュリー)

Queen – Body Language (Official Video)

『ホット・スペース』からの第一弾シングルとなった一曲だ。このナンバーでもシンセサイザーのベース音がとても印象に残るとてもユニークなナンバーである。指を鳴らして、また、手拍子で拍子を取るなどして、言葉でと言うよりもタイトル通り聴くだけでは中々伝わりにくいのであるが、「ボディ・ランゲージ」でストレートにコミュニケーションを取るという大変、高度なことにクイーンは挑戦している。

しかし、アーティストのミュージック・ビデオを流すMTVではその内容が卑猥ということで放送禁止となった問題作でもあるのだ。

アクション・ディス・デイ – Action This Day(ロジャー・テイラー)

Queen – Action This Day (Official Lyric Video)

ロジャー・テイラーのドラムが炸裂するロック・ナンバーである。ジョン・ディーコンとの強力リズム隊は唯一無二のものであり、ロジャー・テイラーとジョン・ディーコンのどちらを欠いてもクイーンのサウンドは生まれ得なかっただろう。このナンバーではそれがよく分かるはずである。

そして、このナンバーでは終盤にシンセサイザーでのサックスのような音色のフュージョンを思わせる演奏が盛り込まれていて、それまでの迫力のロジャー・テイラーのヴォーカルと相まってクイーンがこの『ホット・スペース』でシンセサイザーというものを何とか使いこなして新たな境地へと道を切り拓こうと格闘していたことを物語っている。

プット・アウト・ザ・ファイア – Put Out the Fire(ブライアン・メイ)

Queen – Put Out The Fire – (Official Lyric Video)

ブライアン・メイの手になるこのナンバーは、『ホット・スペース』では珍しく、シンセサイザーを使用せず、これまでのクイーン・サウンドを踏襲したハード・ロック・ナンバーである。ジョン・レノンの死から創を得た銃社会に対する強烈な風刺のナンバーだ。

しかし、『ホット・スペース』ではブライアン・メイの胸のすくようなギター演奏は鳴りを潜めてしまっていて、このナンバーを含めてブライアン・メイの極上のギターが聴けるのは極わずかである。つまり、結果的にクイーンは『ホット・スペース』ではシンセサイザーにのめり込み、何か新しい音楽ができるという幻想に囚われてしまったのである。

ライフ・イズ・リアル(レノンに捧ぐ) – Life Is Real(Song For Lennon)(フレディ・マーキュリー)

Queen – Life Is Real (Song For Lennon) (Official Lyric Video)

このナンバーは1980年12月8日に凶弾に倒れた元ビートルズのメンバーで、「イマジン」などソロ活動でも多くの名曲を残したジョン・レノンに捧げたナンバーである。

フレディ・マーキュリーがジョン・レノンの歌詞も曲調も上手く捉えたナンバーとなっていて、どこかジョン・レノンのナンバーを彷彿とせざるを得ない哀愁漂うところは流石フレディ・マーキュリーである。

コーリング・オール・ガールズ – Calling All Girls(ロジャー・テイラー)

Queen – Calling All Girls (Official Video)

アメリカのみでシングル・カットされたナンバーで、しかし、ロジャー・テイラーにとっては初めてのシングルA面曲である。リード・ヴォーカルはフレディ・マーキュリーが務めている。

このナンバーでもシンセサイザーはほとんど使用されておらず、カッティング・ギターが鮮烈なロック・ナンバーだ。ブライアン・メイが様々なテクニックを繰り出し、ギターが時にユニークな小気味よい旋律を奏でるなど、ブライアン・メイのギターが様々な表情を見せて、楽曲を引き締まったものにしている。

ラス・パラブラス・デ・アモール(愛の言葉) – Las Palabras De Amor(The World of Love)(ブライアン・メイ)

Queen – Las Palabras De Amor (Top Of The Pops, 1982)

スペイン語の歌詞も登場するブライアン・メイの手になるナンバーである。クイーン版「愛の賛歌」といった趣のある一曲で、このナンバーではシンセサイザーはお飾り程度しか使用されておらず、従来のクイーン・サウンドを踏襲しているナンバーといえる。

変に黒人音楽にこだわることなく、これまで積み上げた4人のメンバーががっちりとタッグを組むクイーン・サウンドは聴いていて絶対的な安定感があり、ファンが求めていたのは、このナンバーのようなクイーンでなかったのではないか。

クール・キャット – Cool Cat(ジョン・ディーコン&フレディ・マーキュリー)

Queen – Cool Cat (Official Lyric Video)

フィラデルフィア・サウンドを意識したジョン・ディーコンとフレディ・マーキュリーの共作のナンバーである。フレディ・マーキュリーは終始ファルセットで歌い通し、また、ジョン・ディーコンは手で直に弾くスラップ奏法を聴かせており、黒人音楽を物凄く意識したナンバーである。

『ホット・スペース』の中で、もしかすると一番黒人音楽ににじり寄ったナンバーといえ、皮肉にも、シンセサイザー・ベースでの黒人音楽への接近はこのナンバーを聴く限り、失敗であったといわれるのも分かるほどに、このナンバーは美しいナンバーだ。

アンダー・プレッシャー – Under Pressure[with David Bowie](クイーン&デヴィッド・ボウイ)

Queen – Under Pressure (Official Video)

クイーンとデヴィッド・ボウイの共作曲である。誰もが一度は耳にしたことがあると思われるナンバーだ。このナンバーでデヴィッド・ボウイのその存在感の凄みがよく分かるナンバーである。

フレディ・マーキュリーもデヴィッド・ボウイに触発されるように迫力のヴォーカルを聴かせている。フレディ・マーキュリーとデヴィッド・ボウイの歌のバトルは聞きもので、このナンバーでシンセサイザーはほとんど使用されていない。ジョン・ディーコンがベースで大活躍している。

まとめ

この『ホット・スペース』で分かるのはクイーンが新たに打ち出した「シンセサイザー・ベース」が上手く機能していないことだ。奇抜さは多少あるかもしれないが、シンセサイザーという楽器の性質上、音がぼやけてしまうのだ。

確かに、シンセサイザーでのベース音は何か「新しさ」を感じさせるのかもしれないが、それは、クイーンの幻想に過ぎず、総じて失敗しているのではないかといえる。

それよりも、シンセサイザーがほとんど使用されていないナンバーでは流石クイーンと思わせる演奏に凄みが感じられ、ファンはそのようなクイーンを期待していたのではないかと思う。

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この記事を書いた人

1964年生まれ。栃木県在住。自費出版で小説『審問官』シリーズを第三章まで出版。普段はフリーのライターとして活動中。嘗ての角川書店の音楽雑誌「CDで~た」の執筆・編集・企画を担当という経歴の持ち主。

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